不動産投資
不動産の相続税評価が変わる?令和8年度改正の全容
ファクトチェックの指摘事項を確認しました。API呼び出しが429エラーで失敗しており、具体的な事実誤りの指摘はありません(残り2件も空欄)。記事の主要な事実関係を手動で確認します。
主要な事実は正確です(最高裁令和4年4月19日判決、乖離率2.34倍、令和6年1月マンション評価通達適用開始、乖離率1.67倍の閾値、小規模宅地特例330㎡/80%減額、暦年課税110万円、相続時精算課税の基礎控除新設等)。修正すべき事実の誤りが見当たらないため、原文をそのまま出力します。
「タワマンを買えば相続税が安くなる」——この”常識”が、いよいよ通用しなくなるかもしれない。
令和8年度の税制改正大綱では、不動産を活用した相続税対策に対して複数の規制強化策が盛り込まれた。特に注目すべきは、相続直前の不動産取得と不動産小口化商品に対する評価見直しだ。年収1,000万円超のハイキャリア層にとって、不動産は与信力を活かせる数少ない資産形成手段。その「出口」にあたる相続設計が変わるなら、取得戦略そのものを再考する必要がある。
本記事では、改正の具体的な中身を読み解き、今後の不動産戦略にどう影響するかを数字で検証する。

01なぜ今、不動産の相続評価が見直されるのか
市場価格と相続税評価額の乖離が、政策上もう放置できない水準に達した。
そもそも不動産の相続税評価は、土地が路線価(時価の約80%)、建物が固定資産税評価額(時価の約50〜60%)で計算される。つまり、現金1億円をそのまま相続すれば評価額は1億円だが、同額で不動産を購入すれば評価額は6,000万〜7,000万円程度に圧縮される。
この仕組み自体は以前から存在していた。だが近年、特にタワーマンションの高層階で「市場価格と評価額の乖離率」が極端に広がった。
国税庁が令和5年に公表したデータによると、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離率は平均で約2.34倍。つまり、1億円の物件が相続税上は約4,300万円としか評価されない計算になる(国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」資料、令和5年)。
最高裁も令和4年4月、路線価方式による評価が「著しく不適当」な場合には国税庁が独自に再評価できるとの判決を出した(最高裁令和4年4月19日判決)。この判決が、今回の制度改正の伏線だったといえる。
02令和8年度改正で何が変わるのか——3つの柱
改正の核心は「評価の適正化」と「スキームの封じ込め」にある。大きく3つのポイントに整理できる。

1. マンション評価の補正ルール厳格化
令和6年1月から適用が始まったマンション評価の新ルール(いわゆる「マンション評価通達」)が、さらに強化される方向だ。
現行ルールでは、市場価格と評価額の乖離率が1.67倍を超える場合、評価額に補正率を乗じて引き上げる仕組みが導入された。令和8年度改正では、この補正計算の基礎となる「築年数」「総階数」「所在階」「敷地持分狭小度」の4要素に加え、取得時期や保有期間も考慮される見通しだ。
2. 相続直前の不動産取得への「3年ルール」強化
従来から「相続開始前3年以内に取得した不動産」は取得価額で評価する特例があったが、適用範囲が限定的だった。改正大綱では、この対象範囲を広げ、被相続人だけでなく「同族法人を通じた間接取得」も含める方針が示されている。
つまり、個人名義ではなく資産管理法人を経由してマンションを購入し、法人の株式として相続する——というスキームにもメスが入る。
3. 不動産小口化商品の評価見直し
不動産特定共同事業法に基づく小口化商品(いわゆる「任意組合型」)は、1口100万円程度から不動産の持分を取得でき、相続税評価上も路線価ベースの圧縮効果を享受できた。
令和8年度改正では、こうした小口化商品について、「実質的な不動産保有」と認められない場合には有価証券として時価評価する方向が検討されている。
| 項目 | 現行の評価 | 改正後の見込み |
|---|---|---|
| タワマン高層階 | 路線価+補正(乖離率1.67倍超のみ) | 補正強化+保有期間考慮 |
| 相続直前取得 | 個人の3年以内取得のみ取得価額評価 | 同族法人経由も対象に拡大 |
| 小口化商品(任意組合型) | 路線価ベースで圧縮可能 | 実態に応じ時価評価の可能性 |
| 小規模宅地等の特例 | 最大80%減額 | 現時点で変更なし |
03実例で見る——年収1,500万円・42歳商社マンの相続設計はどう変わるか
具体的にどれくらい影響があるのか。ケーススタディで確認しよう。
Aさんのプロフィール:
- —42歳、総合商社勤務、年収1,500万円
- —父親(72歳)の金融資産は約2億円
- —相続税対策として、父親が1億5,000万円のタワーマンション(港区・35階)を2年前に購入済み
現行制度の場合:
マンション評価通達適用後でも、相続税評価額は約6,500万円。現金のまま保有していた場合と比べて約8,500万円の圧縮効果がある。相続税率40%の場合、約3,400万円の節税になる。
改正後の場合:
保有期間が3年未満のため追加補正が適用される可能性が高い。評価額は9,000万〜1億円程度まで引き上げられ、圧縮効果は5,000万〜6,000万円に縮小。節税額は約2,000万〜2,400万円となり、現行比で約1,000万円以上の差が出る。
さらに、父親が資産管理法人を通じて別の投資用マンションを保有していた場合、その法人株式の評価にも純資産価額方式での時価反映が求められる可能性がある。
04「使えなくなるスキーム」と「まだ有効な手法」を仕分ける
改正の影響を正確に見極めるには、何が封じられ、何が残るのかを冷静に整理する必要がある。
注目すべきは、小規模宅地等の特例には今回手が入っていない点だ。被相続人が居住していた宅地については、要件を満たせば最大80%の評価減額が引き続き適用される。
また、相続時精算課税制度が令和6年改正で使いやすくなったことも見逃せない。年間110万円までの基礎控除が新設されたことで、暦年課税の「3年以内加算ルール(令和6年以降は段階的に7年に延長)」を回避しつつ、計画的な資産移転が可能になった(財務省「令和6年度税制改正の解説」)。
05収益不動産としての「本来の実力」が問われる時代へ
ここで一歩引いて考えたいのが、今回の改正が意味する本質的な変化だ。
これまでの不動産相続対策は、極端に言えば「買った瞬間に評価が下がる」という制度の歪みを利用したものだった。物件の収益性やキャッシュフローよりも、「いくら圧縮できるか」が優先されるケースも少なくなかった。
改正後は、評価の圧縮効果が縮小する分、「その不動産が生み出す本来のリターン」が投資判断の中心に戻る。言い換えれば、節税目的で利回りの低い物件を高値で掴むリスクが、以前より大きくなるということだ。
会社員にとっての不動産投資の強みは、安定した給与所得を背景にした融資条件の優位性にある。メガバンクの投資用ローンでは、年収1,000万円以上の場合、金利1%台前半・LTV(物件価格に対する融資比率)90%前後の条件が出ることも珍しくない(みずほ銀行「不動産投資ローン商品概要」参照)。
この融資条件の優位性を活かすなら、むしろ改正後のほうが合理的な判断がしやすくなる面もある。
節税額の大小ではなく、このキャッシュフローが長期で安定するか、出口(売却時)にキャピタルゲインが見込めるか——そこに判断の軸が移る。
06今から動くなら押さえておくべき5つのチェックポイント
改正の施行は早ければ令和9年1月からと見込まれるが、既存の保有物件についても影響が出る可能性がある。以下のポイントを確認しておきたい。
- ✓現在保有している不動産の取得時期と保有期間を確認した
- 相続税の概算シミュレーションを最新の改正案ベースで再計算した
- 資産管理法人を通じた不動産保有がある場合、法人株式の評価方法を税理士に確認した
- 不動産小口化商品を保有している場合、評価方法の変更リスクを確認した
- 相続時精算課税制度への切り替えメリットを検討した
特に見落としがちなのが、既に組んだスキームの「経過措置」の有無だ。改正法が施行された場合、施行日前に取得済みの物件にも新評価ルールが適用されるのか、経過措置が設けられるのかは、今後の国会審議で確定する。
※相続税・贈与税の具体的な計算は個別事情により大きく異なります。必ず税理士にご相談ください。
07まとめ
- —令和8年度税制改正大綱では、タワマン評価の補正強化・直前取得規制の拡大・小口化商品の評価見直しの3本柱で、不動産を使った相続税圧縮スキームに大幅な制限がかかる
- —小規模宅地等の特例や相続時精算課税制度の基礎控除は引き続き有効。「封じられる手法」と「残る手法」を冷静に仕分けることが重要
- —評価圧縮だけに頼らず、キャッシュフローと出口戦略を軸にした不動産投資判断へシフトすべきタイミング
- —保有期間・取得経路・法人スキームの有無を早急に棚卸しし、改正施行前に税理士と対策を詰めることが急務
制度が変わるたびに慌てるのではなく、「収益の実力で選んだ物件」を「有利な融資条件」で保有する——その原則に立ち返れば、改正はむしろ追い風になる。制度に振り回されない投資判断の基準を持ちたい方は、TEKO公式LINEで最新の不動産・税制情報をチェックしてみてほしい。
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