年収2,000万30代前半外資ITコンサル元BIG4「年収2000万では足りない」サラリーマンの延長線上にない選択肢をとったスリマンさんの本業×複業戦略とは【TEKO独占インタビュー】
スリマンさん
海外輸出コース5期生 / 不動産コース
製薬MRからBIG4へ――家族を軸にしたキャリアの再設計
スリマンさんのキャリアは、内資系大手製薬会社のMRから始まった。子どもの誕生を機に転勤のない環境を求め、フェルミ推定やケーススタディの対策を重ねてBIG4のコンサルティングファームへ転職。最初に配属された半導体業界の英語プロジェクトでは、業界もコンサルティングも分からない状態で赤坂のオフィスのトイレで泣く日々が続いたという。
数ヶ月後、自らヘルスケア案件への異動を志願。製薬業界で培った現場感覚が論点の把握に直結し、拙いながらも意見を出すうちに周囲から頼られる存在へと変わっていった。その後、外資ITへ移りコンサルティング業務を続けている。転職の起点にあったのは、親の近くで働ける環境を整えたいという家族優先の判断だった。
年収2,000万でも足りない――高年収サラリーマンが直面する家計の現実
製薬会社に残った同期と比べ、年収は倍以上の開きがある。サラリーマンとして2,000万円というラインを目標にしてきたが、達成が見えてきた段階で「足りない」と感じたとスリマンさんは語る。子ども3人の養育、妻の退職による世帯年収の減少、自分の趣味、そして親への経済的支援。この四つを同時に回すには、2,000万円では収まらないという実感だった。
製薬業界に多いパワーカップルの世帯年収と比較しても、一馬力では手取りで及ばない場面がある。加えて、中古マンションのペアローンでは妻の育休・退職で所得税が発生しなくなり、住宅ローン控除が機能しなかった。年間40万円返ってくる計算が、妻の分はほぼゼロ。こうした経験から、共働きの世帯年収に頼る構造の脆さを身をもって知ることになった。
パワーカップルの持続性問題――共働きの歪みはどこに出るか
スリマンさんが実感として語ったのは、パワーカップルの「持続性のなさ」だった。業界の異なる夫婦で、どうしても休めない繁忙期に子どもがアデノウイルスに罹患。妻が休んでくれたものの、「なんでいつも私が休まないといけないの」「私のキャリアは?」という言葉が出た。ごもっともだと思いながらも、二人のキャリアをバランスよく維持することの困難さに向き合わざるを得なかった。
ちょうどコンサルファームでマネージャー昇進のタイミングと重なっていたこともあり、妻には仕事以外の選択肢も含めてやりたいことをやらせてあげたいと考えるようになった。共働きで世帯年収を担保する構造は一見合理的に見えるが、休みやすさの非対称やフルタイム勤務の負荷を考えると、男性の一馬力を強化するほうが結果的に安定するというのが、スリマンさんの現時点での結論だ。
外注化という思考の転換――個人競技から組織化へ
半年間で最も大きな変化として挙げたのは「外注化」への考え方だった。個人競技のスポーツ出身で、自分ができれば結果は出ると信じてきたスリマンさんにとって、人に任せることには強い抵抗感があった。本業でも雑務は振っていたが、クオリティに関わる核心部分は全て自分で抱えていた。結果として、自分が楽にならない構造から抜け出せなかった。
コミュニティ内で外注化をうまく回しているメンバーの話を聞くうちに、6〜7割のクオリティでも振って任せるという発想を獲得。本業の繁忙期にタスクがあふれた際、コア業務の一部まで振らざるを得ない状況が訪れ、結果としてそれが機能した。雑務だけでなく判断を伴う仕事を委ねる経験が、副業と本業の両方における組織化への意識を根本から変えた。
サラリーマンの延長線上にない選択肢
コンサルへの転職も、振り返れば労働市場の中での可能性の拡張にすぎなかった。スリマンさんはこの半年で、個人事業主として開業し法人も設立した。ビジネスモデルの一端を体感しながら経験できたことで、意思決定の基準やお金に対する感覚が変わってきたという。本業のキャリアをさらに深掘りする選択肢もあったが、そこから得られる成長と、まったく異なる領域で積み上がる経験値の量と質は、比較にならなかった。
スリマンさんが最後に伝えたかったのは、サラリーマンの中で延長線上に考えている選択肢ではないということ。年収1,000万を超える若手には何かしらのハングリーさがあり、思考もしっかりしている。だからこそ、労働市場のゲームだけでなく、その上位にある別のゲームの存在に気づいてほしい。自信があるなら、ちょっとやってみたいなら、やってしまえばいい――その軽さでいいと、スリマンさんは語った。
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