70歳まで働く時代の資産設計は、定年ではなく収入段差で見る

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TEKO編集部

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内資系製薬→M&A仲介→外資系製薬
「本業+α」を提唱
本業×複業の掛け算によってキャリア・人生にレバレッジを
不動産投資(不動産賃貸業)
海外輸出物販

70歳まで働ける時代になった、と聞くと、長く働くことでお金の不安がやわらぐように感じる。実際、厚生労働省の令和7年「高年齢者雇用状況等報告」では、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業も34.8%まで広がっている。働ける年数の選択肢は、確実に増えてきた。

だが、働けることと、同じ収入が続くことは別である。多くの会社では、55歳前後の役職定年、60歳の定年と再雇用、65歳以降の継続雇用や業務委託への切り替えという形で、段階的な処遇変更が用意されている。賃金構造基本統計調査の最新データでも、男性の所定内給与は55-59歳の445.6千円でピークを打ち、60-64歳で358.5千円、65-69歳で304.3千円と下降していく。月給ベースで見れば、10年で3割を超える下落カーブである。

住宅ローン、子どもの教育費、新NISAやiDeCoの積立、親世代の支援。40代後半から50代前半のハイキャリア会社員は、これらを同時に抱えている。「70歳まで働ける」を前提に家計を組んだ場合、55歳・60歳・65歳の収入段差が、教育費ピークや住宅ローン残高、修繕積立金値上げ、親の介護負担と重なったときに詰まる。会社員の与信をどう設計するかは、高年収会社員の与信をテコに資産形成する考え方とも接続する。

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170歳まで働けることと、同じ収入が続くことは別である

70歳までの就業確保措置を実施した企業は、令和7年で34.8%まで広がった。制度の選択肢としては、定年引上げ、定年制廃止、継続雇用、業務委託契約、社会貢献事業など複数が用意される。内閣府の令和7年版高齢社会白書も参照すると、高齢期の雇用確保や働き方の多様化は政策上も進んでいる。希望すれば70歳まで働ける環境は、少しずつ整いつつある。

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ただし、これは「70歳までの定年引上げを義務付けるもの」ではない。あくまで就業機会の確保が努力義務として置かれている。同じ会社で、同じ役割、同じ年収のまま70歳まで働けることを意味しない。実際には55歳前後で役職定年、60歳で嘱託・再雇用、65歳以降で短時間勤務や業務委託への切り替えなど、複数の段差が挟まる前提で考えるほうが現実に近い。

家計設計で見るべきは「いつまで働けるか」ではない。「働き続ける前提で、収入はいつ、いくらに変わるか」である。70歳まで働けるという制度は、収入が70歳まで一直線で続くことを保証してくれない。家計を組む側が、段差の位置と幅を自分で押さえる必要がある。

70歳まで働く時代に分けて見る3つの軸

01 制度会社が選ぶ枠組み就業確保措置の中で、自社が継続雇用、業務委託、定年引上げのどれを採用しているか。
02 処遇役割と報酬の変化役職、月給、賞与、退職金、福利厚生、社会保険が段階的にどう変わっていくか。
03 家計段差後の支出構造収入段差後の手取りで、住宅固定費・教育費・投資積立・予備費が回るか。

制度の話と処遇の話と家計の話を分けると、70歳までという数字に振り回されにくくなる。会社の制度は人事資料で確認できる。処遇の段差は、同じ会社の60代社員の働き方を見れば輪郭が見えてくる。そのうえで、自分の家計で何が固定化されているかを並べると、収入段差をどう吸収するかが見えやすくなる。

2制度上の70歳就業確保は、定年延長だけを意味しない

厚生労働省の高年齢者雇用安定法の改正ページを参照すると、70歳までの就業機会確保措置として、定年引上げ、定年制廃止、継続雇用制度、業務委託契約、社会貢献事業など複数の選択肢が示されている。会社はこの中から自社で運用しやすい方法を選んで導入する。

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どれを選ぶかで、報酬の見え方、社会保険の扱い、福利厚生、退職金や企業年金の継続性は変わる。継続雇用なら従業員としての扱いが続くが、業務委託契約に切り替われば個人事業主に近い扱いになり、社会保険や厚生年金の積立も止まる。社会貢献事業は、会社が出資・委託する非営利的な活動で、収入水準は現役時代より大幅に下がるのが一般的である。

就業確保措置 雇用形態の見え方 報酬・福利の傾向 家計設計への影響
定年引上げ 従業員のまま定年年齢が延びる 現役延長に近いが、賃金カーブが下方修正されるケースが多い 住宅ローン・投資積立は現役延長前提で組める余地が大きい
定年制廃止 定年そのものを撤廃 役割・成果に応じた個別設計。給与は変動しやすい 毎年見直し前提で、固定費は控えめに置く
継続雇用制度 再雇用・嘱託として再契約 月給は現役の5-7割が目安。賞与・退職金の扱いも変わる 60歳前後の段差を前提に住宅ローン・教育費を組む
業務委託契約 個人事業主として委託契約 社会保険対象外。報酬は成果連動になりやすい 厚生年金・健康保険・労災の代替を別に手当てする
社会貢献事業 会社が出資・委託する活動 報酬は現役時代より大幅に下がる傾向 世帯収入の主軸を別に置く前提で設計する

重要なのは、どれを選んでいる会社かで、60歳以降の家計設計が大きく変わるという事実である。継続雇用と業務委託契約では、源泉徴収の有無、社会保険、住宅ローン審査の見え方も違う。同じ「70歳まで働ける会社」でも、家計から見れば別物として扱う必要がある。

自分の会社が70歳までの就業確保措置として何を選んでいるかは、人事制度ガイド、就業規則、退職金規程、企業年金規程などで確認できる。明確な制度がまだなくても、社内の60代社員がどう働いているかを見れば、実態の輪郭はつかめる。早めに確認しておくほど、住宅ローンや教育費、投資積立の組み方を後から修正しやすい。

355歳・60歳・65歳に収入段差が起きる前提で家計を見る

賃金構造基本統計調査の令和7年データでは、男性の所定内給与額は55-59歳で445.6千円のピークを打ち、60-64歳で358.5千円、65-69歳で304.3千円と下降していく。同じ会社で働き続けていても、月給ベースでは10年で3割を超える下落カーブを描く構造になっている。

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大学卒男性に絞ると、55-59歳が556.3千円、60-64歳が430.3千円、65-69歳が377.5千円。絶対水準は高めだが、下降カーブそのものは平均と変わらない。高所得会社員ほど現役時代の収入は高く、その分、再雇用後や継続雇用後の段差は金額として大きく感じやすい。

年齢階級 男性平均 大学卒男性 段差の見え方 家計での意味
50-54歳 447.1千円 566.7千円 キャリアピーク手前 住宅ローン・教育費・投資積立が同時に乗る最大期
55-59歳 445.6千円 556.3千円 役職定年が来る年代 役職手当が外れ、月給が1-2割下がる可能性
60-64歳 358.5千円 430.3千円 再雇用・嘱託の段差 月給が現役の5-7割。賞与・退職金も変わる
65-69歳 304.3千円 377.5千円 継続雇用上限の段差 時短・業務委託化で、さらに月給が下がる

この数字は「業界平均」であり、自分が必ずこのカーブになるという意味ではない。だが、自分の収入だけが平均から大きく上振れし続ける前提で家計を組むのは危うい。前提は平均近辺に置き、上振れしたら家計に余裕が生まれる、という設計のほうが安全側になる。

「働ける」と「同じ収入が続く」を分けて家計を組む

70歳まで働ける制度と、70歳まで同じ収入が続くことは、別の話である。家計設計では、働ける年数ではなく、収入が変わる段差の位置と幅を起点にする。

段差は55-59歳と60-64歳の間、60-64歳と65-69歳の間の2か所が特に大きい。役職定年と再雇用、再雇用後の年齢上限切り替えがここに重なる。

50代に入ったら、この2つの段差をまたぐ住宅ローン残高、教育費ピーク、投資積立、固定費の見直しを始めたい。段差を見越して事前に組んだ家計は、段差が来てから慌てて手を打つ家計より、選択肢が広い状態を保ちやすい。

4住宅ローンと教育費は、退職年齢ではなく収入段差に合わせて組む

住宅ローンは「定年までに完済」と捉えがちだが、定年年齢は会社や制度で変わる。65歳定年でも、再雇用後の月給は現役の5-7割まで下がる可能性が高い。70歳まで返済可能と銀行に審査されたとしても、段差後の手取りで返済を続けられるかは別の問題である。

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教育費のピークは、子どもの大学進学・大学院進学に重なりやすく、保護者の40代後半から50代後半に集中する。役職定年が55歳前後に来る会社では、教育費ピークと役職定年が同じ時期に重なる可能性がある。住宅ローンの繰上げ返済を急いだ結果、教育費キャッシュフローが厳しくなる事例も少なくない。

退職年齢で組むのではなく、収入段差で組むという発想に切り替える。55歳の段差、60歳の段差、65歳の段差のそれぞれで、住宅固定費・ローン返済・教育費・投資積立・生活費がどうなるかを並べる。金利変化を家計へ落とす見方は、1.79%から1.90%へ、0.11ポイントの含意とも接続する。各段差後に、現役時代より少ない収入でも、すべての支出が回る設計になっているかを確認する。

住宅ローン・教育費の組み方を見る2つの視点

退職年齢で組む「定年65歳までに完済」銀行審査と返済期間の収まりは良いが、再雇用後の月給減を吸収しにくい。
収入段差で組む「各段差後でも返済継続」55歳・60歳・65歳の段差ごとに、ローン・教育費・投資積立が回るかを確認する。
注意したい設計「段差前の繰上げ偏重」段差前に繰上げ返済を急ぐと、教育費ピークや段差後の手取りで詰まりやすい。
定年で組むな、収入段差で組め

「定年=完済」を絶対視せず、「段差後でも返済継続可能」を判断軸にすると、借入額・返済期間・繰上げ返済・固定金利か変動かの選び方が変わる。

住宅ローンと教育費は5年単位で見直すと、収入段差ごとに微修正できる。住宅費の固定化と支出設計は、高所得でもお金を使い切れない時代の支出設計とも重なる視点である。

段差後の手取りで住宅ローン・教育費・固定費が同時に重く乗ると、投資積立や生活防衛資金を取り崩す選択を迫られる。逆に、段差前のうちに借入額を抑え、繰上げ返済の優先順位を決めておけば、段差後の月給でも家計が回りやすい。退職年齢ではなく収入段差で組む発想は、住宅ローン契約のタイミングからすでに効いてくる。

5投資額は余剰資金ではなく、固定費と将来収入の変化から逆算する

投資は「余剰資金で」と言われがちだが、50代以降は余剰の定義そのものを見直したい。月の余剰は、現役時代の月給から固定費・教育費・生活費を引いた残りだけでなく、再雇用後や継続雇用後の月給から同じ支出を引いた場合も成立するかで見る必要がある。

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新NISAやiDeCoの積立は、長期で続けることに価値がある。役職定年や再雇用で収入が下がった瞬間に積立を止めると、複利の効果や非課税枠の活用機会を失う。iDeCoの制度変更や掛金設計は、iDeCo月6.2万円時代とは何かも踏まえて見たい。50代の投資額は「今の余裕」ではなく、段差後の月収で続けられる水準に合わせると、無理なく継続できる。

再雇用後の月次CFを基準にした投資額の逆算

段差後の手取り月収 = 現役月収 × 0.5〜0.7(業界平均ベース)
段差後の生活余力 = 段差後の手取り − 生活費 − 住宅固定費 − 教育費残り − 親世代支援
継続可能な月次投資額 = 段差後の生活余力 − 予備費 − 健康・介護リスク備え

この式で出した金額より、現役時代の積立額を大きくしないという考え方が一つの目安になる。現役時代に多めに積立てたいなら、段差前の有期で増額し、段差後は基準額に戻すといった設計にする。

役職定年や再雇用で月給が3割減ったときに、投資積立を半額に縮めても続けられる設計にしておけば、家計の急停止を避けられる。あるいは、段差前に積立額を増やしておき、段差後は無理に継続しない選択肢もある。どちらにせよ、段差が起きてから慌てて積立額を見直すのではなく、段差を見越して事前に設計する。

投資額を逆算するときの落とし穴は、ストレスシナリオを甘く置くことである。再雇用後の月給を「8割は維持できるはず」と置いた家計は、実際に5-6割になったときに崩れる。賃金構造基本統計の平均値を念頭に、悲観寄りで置いておくと段差を吸収しやすい。NISA・iDeCoの優先順位は、新NISAの基本設計を資産配分へ落とす視点とも合わせて見たい。

6親世代支援・介護・健康リスクを、50代の家計に入れておく

50代の家計では、本人の収入段差だけでなく、親世代の生活コストや介護・医療負担も同時期に増えることがある。親が後期高齢者に入る年齢と、本人の役職定年や再雇用が重なるケースは多い。「親はまだ元気」という前提だけで家計を組むと、想定外の支出が一度に乗ったときに対応しにくくなる。

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親世代支援は、毎月の生活費補助、医療費負担、住み替えや住宅改修の支援、施設入居の頭金、相続前後の手続き費用など、項目が多岐にわたる。一つひとつは大きな金額でなくても、複数年にわたって続くと家計のキャッシュフローを圧迫する。家計の固定費と並べて、いくらまでなら無理なく支援できるかを把握しておきたい。

50代家計には「親世代支援予備費」を入れておく

毎月の支援額そのものより、急に必要になる一時金(住宅改修、施設入居時の頭金、医療費の自己負担増、葬儀・相続関連)が家計のリズムを崩しやすい。

50代に入ったら、生活防衛資金とは別に、親世代支援予備費として6-12か月分の生活費相当を確保しておくと、収入段差と支援が重なっても急停止を避けやすい。

自分自身の健康リスクも、50代から確率が上がる。手術や入院、長期療養、メンタル不調による休職など、収入が一時的に途絶える可能性を家計に織り込んでおく。生活防衛資金を、20-30代のときの半年分から、12-24か月分に増やしておくと、想定外の出費に耐えやすい。

配偶者の収入段差も忘れてはいけない。共働き世帯では、片方の役職定年や再雇用が、もう片方より早く来ることがある。世帯収入として、いつ・いくらに変わるかを夫婦で見える化しておくと、住宅ローンや投資積立の意思決定もスムーズになる。贈与や相続の準備は、贈与と相続時精算課税の記事もあわせて確認しておきたい。

7高所得会社員が確認すべき5つの収入段差

自分の会社・自分の役割で、収入段差がいつ・どの程度起きるかを書き出すと、家計の見直し優先順位が立ちやすい。一般的な高所得会社員に当てはまる段差を5つに整理する。すべて自分に当てはまるとは限らないが、見落としやすい段差を点検する目線で使えるはずである。

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50代から確認したい5つの収入段差チェック

  • 55歳前後の役職定年:役職手当が外れ、月給が1-2割下がる可能性。賞与・退職金算定基礎にも影響する。
  • 60歳前後の再雇用・嘱託契約:月給が現役の5-7割に落ちるケースが一般的。賞与の有無や退職金の確定タイミングも変わる。
  • 65歳前後の継続雇用上限:労働時間短縮、業務範囲縮小、報酬の再設計。継続雇用そのものの可否も会社判断で変わる。
  • 業務委託契約への切り替え:社会保険・厚生年金・労災・健康保険の扱いが変わる。確定申告対応の負担も発生する。
  • 退職・引退:公的年金開始までの空白期間、資産取り崩しの設計、健康保険の選び方を事前に決めておく必要がある。

この5つは独立に起きるのではなく、組み合わさって家計に効く。役職定年の月給減と再雇用後の月給減が連続すると、現役時代より3-5割少ない月給で5-10年間生活する期間が生まれる。この期間に、住宅ローンと教育費がまだ重く乗っているか、生活費を圧縮できているかが、家計の余裕を決める。

収入段差を家計に織り込む順番
  1. 自分の会社の60歳以降の就業確保措置を、人事制度・就業規則で確認する。
  2. 同じ会社の50代後半-60代社員の処遇を観察し、段差の幅を推定する。
  3. 各段差後の手取り月収を仮置きし、住宅固定費・教育費・投資積立を並べる。
  4. ストレステストで、段差後の手取りでも家計が回るかを確認する。
  5. 回らないなら、住宅ローン期間・繰上げ返済・教育費・投資額の優先順位を見直す。

この順番で見ていくと、いま手を打てる項目と、後から修正しにくい項目が分かれる。住宅ローンの借入額・期間・固定か変動かは、契約のタイミングで決まる重さが大きい。教育費は子どもの進路に依存し、後から圧縮しにくい。投資額は段差後でも調整しやすい。優先順位は、住宅ローン、教育費、投資額の順で見直したい。副業や別収入を検討する場合は、パラレルキャリア時代の副業設計もヒントになる。

8長く働く前提ではなく、収入が変わっても詰まらない設計にする

70歳まで働ける時代は、家計設計の自由度を増やしてくれる。働く年数を延ばすことで、住宅ローン返済、教育費、投資積立、老後資金のどれかに余裕を持たせることができる。だが、この自由度は「同じ収入が70歳まで続く」という前提で初めて成立する話ではない。実際の制度・処遇は、55歳・60歳・65歳の段差を挟みながら、段階的に下降していく。

重要なのは、長く働けることと、家計が詰まらないことを分けて設計することである。長く働ける制度は前提として、家計は「収入が変わっても詰まらない設計」にしておく。役職定年の幅、再雇用後の月給、業務委託への切り替え、退職・引退、それぞれの段差後でも、生活費・住宅固定費・教育費・投資積立・予備費が回るラインに収まっているか。これが判断軸である。

この記事の判断軸

働ける年数ではなく、収入が変わる段差で家計を見る。退職年齢ではなく、55歳・60歳・65歳の段差後の手取りを基準に、住宅ローン・教育費・投資・親世代支援の優先順位を決める。

現役時代の収入で組んだ家計を、段差後の手取りでもう一度シミュレーションし、回らないなら段差前のうちに見直す。

高所得会社員ほど、現役時代の収入の高さが家計設計の前提になりやすい。だが、現役時代の収入と、再雇用後・業務委託後の収入は、別物として扱う必要がある。50代に入ったら、5年に一度、収入段差後の家計をシミュレーションするだけで、住宅ローン・教育費・投資額の調整が大きくしやすくなる。シミュレーションのたびに段差の幅や時期は更新できるので、最初から完璧な数字を出す必要はない。仮置きでも構わないので、いったん5年・10年・15年後の家計を並べて見ることが、判断の出発点になる。

70歳まで働けることそのものは恩恵である。ただ、その恩恵を「同じ収入が続く保証」にすり替えないことが大事である。働ける年数は長くなり、収入は段階的に下がる。この前提を家計に入れた瞬間、住宅ローン、教育費、投資、親世代支援、生活防衛資金の優先順位が見える。長く働ける時代の資産設計は、退職年齢ではなく、収入段差から組み直したい。働き方を副業や法人化で組み替える場合は、副業法人化を検討する前の判断軸も参考になる。

出典・参照: 厚生労働省「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」、厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正 ~70歳までの就業機会確保~」、厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査 結果の概況」、内閣府「令和7年版高齢社会白書」。

本記事は2026年5月時点で確認できる公表資料と一般的な家計設計の観点に基づく。70歳までの就業確保措置、再雇用、業務委託契約、社会保険、退職金、企業年金、住宅ローン、教育費、税務、資産形成の判断は個別事情で結論が変わる。実際の判断では、勤務先の人事制度、金融機関、税理士、FP、社労士などに確認してから進めてほしい。


70歳まで働く前提では、定年の有無よりも、収入がどこで段差を迎えるかが資産設計の起点になる。退職金、年金、住宅ローン、教育費を同じ時間軸に置き、働き方の選択肢を残す設計にしたい。

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